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はじめに
このケーブルは音質に拘りがある方向けに制作したものです。その為音質以外の要素はすべて切り捨てて設計しています。劇的な音質向上効果がありますが一般的なケーブルとは使い勝手が違います。音に関して大して熱意がない方は使い勝手が悪くて不満が溜るだろうし、そもそも使いこなせないと思うので、絶対に購入しないでください。また購入しない製品の説明文なんか読んでも何の役にも立たないので今回の所はお引き取り願いたい。ご来訪ありがとうございました。
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MUGEN-RCA001
設計思想 / audio concept
MUGEN-RCA001はシールドに銅パイプを使ったケーブルになっています。RCAケーブルの開発においては、MUGEN-SPC+74Sと似たような構造でそのままRCAケーブルに落とし込もうかと考えたのですが、RCAケーブルはSPケーブルや電源ケーブルと比べるとローカレントな伝送路となるので電流よりも電圧を重視して設計したほうが良いのではないかと言うことと、以前と同じ方法では進化がない上に個人的にも作ってて面白くないので、以前から問題と感じていたシールドを改善する目的で本製品ではシールドに銅パイプを採用することにしました。
以前からシールドの箔の継ぎ目が音質劣化要素として音質に影響することは分かっていました。なので銅パイプを使えば音質が上がるであろうことは分かっていましたが、ケーブルの端持ってもう一方の端が自重で地面に落ちないケーブルになるので「これはちょっとクレイジーだぞ」と製作することには二の足を踏んでいました。しかしながら、今までの経験から銅パイプを使えば、使い勝手(取り回しやすさ)を切り捨てるかわりに得られる音質向上は絶大であることが予測できたので、本製品では銅パイプシールドを採用しました。
ところでシールドがなぜ音質に影響するのでしょうか?このことは電気の伝わり方をちょっと考えれば分かります、電圧の変化(電気信号)は導体内部を伝わるのではなく導体の外側を導体中の電子と相互作用しながら伝わります。そもそも電圧の変化が導体内部を伝わっていくことはできません。なぜなら導体内部のような電流が流れる空間では電磁波は渦電流によってあっと言う間に減衰するからです。これを表皮効果とも言います。また、電流が流れる空間内を進む電磁波が1/e(約40%)に減衰するときの電磁波の移動距離を表皮厚とか表皮深さと呼んでいます。
表皮効果は「高周波数になるほど電流が導体の表面を流れやすくなる」と書かれることが多いですが、電圧で考えるなら「電圧の変化が電磁波として導体の外側を導体中の電子と相互作用しながら伝わり、導体の外側に生じた電圧の変化が導体表面から内部へ浸透していきます。そして浸透した電圧の変化は表皮効果によって減衰されていくのですが、その浸透した電圧の変化が導体内部のどこまで浸透していけるかを表したのがいわゆる表皮厚である」と理解した方がイメージしやすいです。このイメージなら表皮効果によって流れる電流がなぜ表面なのかと言う点や、電気信号が伝わる速度がなぜ絶縁体の誘電率と透磁率に依存するのか(絶縁体の中を伝わっているから)と言う点も容易に理解できます。導体の中の電子と導体の外の電磁波が相互作用するのは不思議な感じがしますが、電磁波は空間に分布する波で、点ではなく幅を持っています。ですから、電磁波の波の幅の範囲内なら離れた場所にある電子とも相互作用が可能になります。
上記のような原理で電気信号は伝わるのですが、導体の外側を伝わる電気信号にとってはそれが信号線かそうでないかは見分けがつかないので、シールドとも相互作用して音質に影響を与えます。特にシールドの表面形状は大きく影響します。これはシールドをアースに接続せずに浮かせた状態でも音質に影響します。一見電気的に接続されていないようでも実際にはそうではないと言うことです。
ここで重要なのは、一般的にシールドは外部からのノイズを遮断することが重視されますが、シールド自体にも音質劣化要素が存在すると言うことです。皆さんはシールドを貼ったケーブル使ったけどノンシールドケーブルと音質レベルは大差なかったという経験はないでしょうか?これは何も考えずに適当にシールド貼っただけだからです。もしくはシールドケーブルを使ったら音が詰まって閉塞感が出たと言った経験はないでしょうか?これも実装が悪くシールドが悪さをしている典型的な例です。シールドをきちんと貼ると多芯にしてケーブル構造をあれこれ弄ったくらいではちょっと勝てないなぁと言うくらいはっきりとした効果が出ます。銅パイプシールドを使うとシールドの音質劣化要素を絶無に近いレベルに出来るのでこれよりさらに上の音質を達成できます。銅パイプシールドが外部からのノイズを遮断する能力に優れると言うのもあるですが、音質に悪影響を及ぼさないと言う点において継ぎ目の存在する箔シールドや表面形状が複雑な編組シールドでは銅パイプシールドに原理的に及ばないからです。尤もシールド能力だけで音質が決まるわけではないのですが。
・・・本製品は一芯シールドのシンプルな構造ですが、シールド能力と絶縁体の音質を劇的に改善しているのでかなりの音質が達成できます。
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技術詳細 / Technology
高音質を追及するためにMUGEN IDCのケーブルは幾つもの工夫がされています。ケーブルの音質は抵抗や、コイル成分、コンデンサー成分のみで決まるわけではありません。これらの要素は導線の断面積やケーブルの構造によって決まりますが、それ以外に導線や被覆材料のクオリティによっても左右されます。MUGEN IDCのケーブルはあらゆる要素を総合的に考慮することで高音質を達成しています。
単線導体/Single Wire
中心導体には単線を採用しています。単線導体は撚り線のような導体同士の接触面が存在せず、表面形状がシンプルなのでそれによる信号の乱れをゼロにできます。
銅パイプシールド/Pipe Shield
シールドには銅パイプシールドを採用。通常の箔シールドや編組シールドのような導体間の継ぎ目が全くなく、なめらかな表面によりシールドによる信号への悪影響をほぼゼロにできます。
鏡面仕上げ/Mirror Finish
導体表面の平滑度も音質に影響を与えるので、銅パイプシールドの内部および外部と中心導体は鏡面仕上げになっています。これにより歪のない滑らかでスムーズな音質を実現します。
高音質絶縁体/Super Fine Insulation
この絶縁体はMUGEN-SPC+74Sに使われていた絶縁体よりも高音質を達成している絶縁体です。これによりさらにクリアーに音楽的な表現ができるようになりました。
方向性管理/Anisotropy management
導体や絶縁体は方向によって音質が違う異方性が存在するので当然これも管理しています。MUGEN-SPC+74Sでは導体や絶縁体、熱収縮チューブの方向性は管理していたのですが、 Yラグ部分までは管理していませんでした。MUGEN-RCA001ではプラグの方向性も管理しています。これによりプラグの方向性を未管理の状態よりも音楽的な表現力が増すようになりました。ちなみにプラグはFURUTECH FT-111(G)になります。
圧着(ネジ止め)+エポキシ樹脂接着/Crimping and Epoxy resin bonding
プラグと導体の接続は圧着(ネジ止め)+エポキシ樹脂接着で行っています。この工法はエポキシ樹脂が接続部の強化と導体の酸化防止の働きをします。また音質面ではエポキシ樹脂の抗振動効果および振動減衰効果によりハンダなしのネジ止め接続(もしくは圧着接続)や圧着+ハンダ接続を遥かに上回る音質を達成できます。もっともFURUTECH FT-111(G)はモールドされているためハンダ接続はできませんがね。
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価格 / price
価格1mペアで40,000円。
ペアで1m追加ごとに+20,000円(0.5m追加なら+10,000円)。
4.5mまで延長可能です。
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30日間 返品・返金保証
本製品では30日間 返品・返金保証を設定しました。30日間 返品・返金保証は気軽に購入してもらいたいと言うのと、より多くの人にケーブルのディープな世界を体験してもらいたいと言う理由から設定しています。
音質に満足できなかった場合や値段分の価値がないと判定された場合は返品していただいて構いません。返送は着払いで構わないです。返金は銀行振り込みになります。
返品・返金時の条件ですが、返品するとして「では幾らなら妥当な価格なのか?」貴方にとっての妥当な価格を付けてください。条件はそれだけです(※1)。
※1 ただし返品・返金保証が適用されない場合があります。例えば、製品を無理やり分解して商品価値を著しく毀損した状態で返品されたなどそういった場合は返品・返金保証を適用しません。返品された商品を新品で売ることは絶対にないのでこちらとして特に損したと言うわけではないのですが、そういうことをされると気分良いものではないので。基本的に悪意ある人には返品・返金保証は適用しないと言うことです。使用上の注意を守ったうえで普通に使っている限りは何も問題ないので、ご安心ください。
※2 30日間 返品・返金保証があるので本製品には貸し出し制度はありません。ご了承ください。
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使用上の注意
※ケーブルを曲げる際は直径18cm以上の型を使ってください。
ケーブルを曲げる際は直径18cm以上の円形の型を使ってください。これはケーブルを曲げる際に一か所に力が集中して鋭角に曲がってしまうのを避けるためです。パイプケーブルなので鋭角に曲げると折れる恐れがあります。またきつく曲げると寿命が極端に低下します。
ケーブルを曲げる際の型は直径18cm以上であれば、基本鍋でも洗面器でもゴミ箱でも身近にあるもので構いません。直径18cmの型でも十分なのですが、ケーブルへの負担をさらに減らそうと考えれば、直径24-30cmくらいの型が望ましいでしょう。基本的に大きいほど良いです。
この製品の基本の長さは1mからですが、1mあれば15pの曲げ半径(直径30cm)でも高さ60cmのラック内なら配線できるようになっています。
また、曲げ半径の制約からAMPやDACの後ろの空間が20cm以上必要です。
※ケーブルを曲げる際はプラグを持たずにケーブルの部分を持って曲げてください。
パイプ自体の耐久性としては直径18cmの曲げを繰り返しても500回以上の曲げに耐えますが、プラグを持ちながら曲げを繰り返すとパイプとプラグの付け根部分に負荷が集中して接点に負荷がかかるので、接点に過度の負担を掛けないようにと言うことです。
もちろんAMPやDACからケーブルを抜き差しする際はプラグを持つようにしてください。ケーブルを抜き差しする際にケーブル部分を引っ張ると接点に負荷がかかるので、絶対にしないでください。
※端子とケーブルの付け根部分(赤のチューブが被せている部分)を無理やり曲げて接続しないでください。
この部分までエポキシで固めてあります。実際に曲げられるのは赤のチューブから先の部分です。
※据え置きの固定機器で使ってください。
ケーブルの曲げ伸ばしが頻繁に行われる移動用の機器では使用しないでください。このケーブルの耐久性は普通のケーブルほどありません。しかしながら、据え置きの固定機器で使っている限りはパイプが傷むことはありませんし、一生のうち機械の入れ替えをどの程度するかを考えれば、500回以上の曲げにパイプが耐えれば十分だし、もっと低めに見積もって100回前後としても100回機器を入れ替えるか?という話になってくるので、据え置きの固定機器で使っている限りは問題ありません。
※パイプの耐久性について。
このケーブルの銅パイプの耐久性ですが、直径18cmの型を使って、U字に曲げてさらに逆方向にU字に曲げる繰り返しテストで1回目は1101回、2回目は1407回目で破断しました。当初は100回程度で破断すると思っていたので予想よりも遥かに高い耐久性があるのですが、何割かばらつきがあること、テスト回数が少ないことを考慮して、マージンを取って500回程度の曲げに耐えうる耐久性とみなしてください。
ちなみに直径7.5cmの型を使ったU字に曲げてさらに逆方向にU字に曲げる繰り返しテストでは、129回目で破断しました。ただ100回以降はパイプが薄くなってくびれてきたのが分かったので、100回曲げると破断していなくても事実上耐久性が無くなっている状態ということになる。こちらもマージンを見て、直径7.5cmの型(曲げ半径3.75cm)なら50-60回程度の耐久性とみなした方が良いでしょう。ただし、耐久性が極端に悪くなるので直径18cm以下の型を使った曲げ(曲げ半径9cm以下)はまったく推奨しません。保証対象外になりますのでご注意ください。
※ケーブルを踏まないように気を付けてください。
※ケーブルのチューブを傷つけないよう注意してください。
※ケーブルを抜き差しする場合、必ず端子の部分を持って抜き差ししてください。
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あとがき
ここまで読んでいただきありがとうございました。この製品の開発期間は8ヶ月。費やした試行と実験は170回に及びます。一芯シールド構造のケーブルになぜそこまで時間がかかるのか?と思われるかもしれませんが、チューブの選定から、プラグの選定、導体やパイプの方向性はもとより熱収縮チューブの収縮条件など細かいところまで詰めていった結果、それくらいの時間が掛かってしまいました。基本的に使われているすべての部品に対して音質的な検証を行っています。構想の段階ではすぐに作れると思っていたのですが、何かを試すと「次にこうしたら音が良くなるんじゃないか?」と言うのが見えてしまう。そうなってくると試さざる得ない。いわゆる80点の法則と言うやつで人間どんなに完璧にしようと頑張っても80点程度が限界で、残りの20%は改善できる余地。と言うことなのでしょうか。結果的に改善を繰り返すことで音質は着実に上がりました。やったらやっただけきちんと応えてくれるのもオーディオの良いところですね。価格以上の音質は達成しているので興味ある方は聴いてみてください。
2018/06/23 公開
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